オオイタサンショウウオ


 オオイタサンショウウオ (Hynobius dunni

大分、熊本、宮崎に分布。
全長14cm前後の大型の止水性種。高知県の生息地はトサシミズサンショウウオとして2018年に分類される。
丘陵地や里山の林床に生息し12月〜3月に湧水の溜りなどに産卵する。
場所により保護指定されている。

飼育下ではコオロギ、ワームと食いは良く、餌付けも可能。温度も25度ぐらいに留めれば丈夫なので飼いやすい。飼育下繁殖も可能だが産卵には多少水深のある場所を好むので90cm水槽で水深30cmほど取るようにしたい。

卵から育てた雌

05年で5歳になる雌。オオイタサンショウウオの雌はトウキョウサンショウウオと同じく、産卵がすむとサッサと水中から出て行くようであまり見つからない。雌は雄よりも多少小型。

オオイタサンショウウオの幼生は共食いが凄まじいので大きめのゲージで水草を多めに入れた方がいい。
変わった体色の雄

通常オオイタサンショウウオの体色は緑褐色に黒っぽい斑紋が入る事が多いが左画像の個体は背中に青い斑紋が入っている。購入個体なので産地が分からないが私は野生では見たことが無いパターン。イレギュラーな体色だと思う。幼体ではなくアダルト。
性判別

止水性種ではお馴染み。総排泄腔上部に突起が確認できれば雄である。

卵の様子

本種の卵は水中に倒れている木の枯れ枝や落ち葉の下などに隠して産卵している。

同種で卵をオープンで産むものと、隠蔽するものがあるのはカスミやトウキョウサンショウウオにも見られる。
繁殖地の様子

止水性種ではあるが左画像のような流水に産卵するケースもある。流量がかなりある場所だが石で水流がさえぎられ淵になるような場所の枯れ枝に産卵している。(上画像の卵は左画像の水中枯れ木に産んであるもの)

渓流のような場所に産卵するケースは多いがだいたいは枯れ沢のような場所で、かろうじて伏流水が流れ、水溜りを形成するようなところに産卵している。左画像のように流量が多いところに産卵するのは珍しいと思う。
繁殖地の様子

本種も基本的に産卵場所として選ぶのは湧き水がある場所で、湿地の溜り、イノシシの水浴び場、あぜのある用水路、池、渓流等で他の止水性種と同じ。

左画像の繁殖場は山から伏流水が滲んで出来る溜り。すぐ傍に同じような環境の場所があってもこの場所以外には産卵しない。年間の湧き水吐出量や水温、水質等に違いがあるのだろうか?比較してみたらおもしろいかも。(水中に卵があるのが分かるだろうか?)短辺1mほどで水深30cmほどだが50対弱の卵嚢が産んである。

飼育繁殖例

2006年3月6日 人工繁殖した卵嚢。
上記の雌が産卵,孵化後6年を費やす。
左画像の卵嚢が成長したもの。
孵化後2ヶ月の個体。 変態間近の個体。孵化後3ヶ月。

管理人は1999年に採集した卵と雄成体2匹から 2020年現在まで累代飼育を続けている。日本のサンショウウオの中では最も飼育繁殖しやすい種類だと思われる。
2007年 7月

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