タイガーサラマンダー


バードタイガーサラマンダー
(Ambystoma tigrinum mavortium )


アメリカ・ワイオミング、コロラド州、メキシコなど広範囲に分布し、乾燥地から湿地まで幅広く生息している。

サラマンダーの入門種と言われる種類で、その理由は餌食いがいい、環境にうるさくない、温度を低く設定しなくてもよいから、だが、キープしやすいというだけで繁殖例は少ない。簡単に繁殖しない種に対して飼育入門種というのはおかしいのでは?と思う。アホロートル、イベリアトゲイモリあたりが飼育入門種なんだろうと個人的には思う。

入門種といわれるだけあって、餌食いは抜群によく、なんでもピンセットから飛びついて食べる。せっかくの餌食いのいい種なのでレプトミンを中心にエビなどカルシウムを含む餌もバランスよくあげよう。あまり与えすぎても良くないので週2〜3回ほどレプトミンなら1回に大きいサイズのもので5本ぐらい個体の調子を見ながら増減して与える。


タイガーには6亜種ほどあるが輸入されるのはバードタイガーとトウブタイガーがほとんど。

バードタイガーでもカラーバリエーションが多く、左画像もバードタイガー。私が中学生の時に飼育していた個体で、友人がウーパールーパーと言われて飼っていた個体が変態したものを譲り受けた。当時タイガーの幼生をウーパーと偽って売っている事も多かった。

昔はタイガーといえばトウブタイガーが多かったが
最近はバードの方が入荷は多いようだ。
トウブタイガーサラマンダー幼生

90年代はよく熱帯魚店でも見かける事が多かった幼生だが、あまり見かけなくなった。養殖物では無くワイルドだったのだろう。

ウォータードッグの名で売られる事が多いが本来はタイガーの幼生を指す言葉ではない。

この個体はトウブタイガーの幼生。幼生で入手するとブロッチタイガー(A.t melanostictum)グレータイガー(A.t diaboli )など成体では入荷しない亜種が混じる事も多かった。
バードタイガー幼生

20cmを越える巨大な幼生。
幼生のサイズは色々で10cmほどで変態するものもあれば左画像のような大きいサイズまで育ってから変態するものもいる。

地域差なのか育成温度なのかは不明。

体に模様が出てくるとまもなく変態するが、変態後は浅い
アクアテラリウムで飼育した方がいい。

よく馴れる。

餌に見向きもしないサラマンダーの中で本当によく餌をねだる種だ。水中にいるときでも餌をくれると分かると頭をあげてそわそわしだす。

根暗、神経質なサラマンダーの中でこれほど愛玩動物的な存在はいない。
冬は水中生活

通常は陸生のタイガーサラマンダーだが冬になると水中で過ごすことが多くなる。

繁殖は経験が無いが水中生活時に換水してヒーターで温度をあげてやれば産卵させることも可能だと思う。
繁殖は温度変化だけでなくタイガーの場合、サイズが大きいので全長の2倍の水深をとるだけでも50センチは必要だし、求愛行動を円滑に行わせるのに水槽の大きさも大型のものが必要だろう。実際に繁殖を成功させている人は
120〜150cmの大型水槽を使っているようだ。
飼育環境

陸地にはザルを加工してレンガの上に置くだけの簡単なつくりにしてある。水槽が90cmと小さいので繁殖させる時はすぐに陸を外してフルタンクにできるようにしている。いい雄がいればぜひ繁殖を試してみたい。

温度管理はいくら高温に強いタイガーといえども40度とかは無理である。30度も相当きびしい。冷却装置はなくてもいいが、涼しい所に置くかファンを付けるかはしたい。高温に強いと言うのは他のサラマンダーと比べてなので適温自体は20℃前半。26〜27度ぐらいなら平気だ。

濾過装置は無くてもよいが体が大きいので排泄の量も多い為、無いならまめに掃除する。私は上部を使っているがサブ的なもので水換えが中心。


   タイガーサラマンダー繁殖記録

2008年 3月30日 産卵を確認する。
水温12度  おそらく3月27日に産卵したものと思われる。

画像は産卵用に使用した水槽。90x45.水深約30cm。
何に好んで産卵するか不明だった為、陸から垂れ下がる植物、水草、石、流木、ビニール紐と多様な産卵床を用意した。

通常は陸上生活をするサラマンダーだが気温が下がる冬には水中にいるようになると上記で述べたが、08年は水中へ移行した個体♂1♀2を2月中旬に野外繁殖水槽へ移した。

繁殖行動は見る事が出来なかったが、産卵直前(産卵時?)水底を活発に動き回る様子はうかがえた。繁殖はおそらく他の有尾類と同じく水温、水質の変化がリリーサーとなるのだと思う。

水中に適応した個体は、いつもの餌くれモードでは無く、人影に怯えて逃げ回り、口元に餌を差し出しても食べない為、一応活赤虫をばら撒いておいた。
(あまり食べた痕跡無し)

産卵された卵は陸上から垂らした植物以外の全ての産卵床に産卵した。

有る程度固まって産卵されているものもあれば、バラバラに産みつけられたものもある。
おそらく一点で産卵して、卵をばら撒きながら移動してまた1点で産むという事ではないかと思う。

気が付いた事は30cmの水深で上部には産卵が少ない事。
主に水底近くに集中している。

4月6日 室内水温14度 4月8日 水温15度 結構成長は早い

4月13日 水温14度 孵化間近 4月15日 孵化 全長12mm 

6月1日

3つの水槽に分けて飼育している。

平均的な大きさ(画像下個体)で
3.5cm。1つの水槽だけは大型
(共食いモルフ型)に育ち、
5.5cmと2cmの開きができた。
7月12日

3つの水槽のうち、最大が12cm。
画面左上7cm(だいたい平均)
右 2個体5cm(小型の部類)

大型個体は外飼育のもので
おそらく数十匹の共食いをしている。
12日より室内へ。
画像では分からないが、薄く柄が出てきている。

室内水温22度。

7/29  水温22度 約8cmの平均的サイズ。
噛み合うのか水質か死亡個体が増える。

9月28日 約12cm 背面に模様が出て外鰓が縮小している
(上個体)

10月17日 ほぼ変態した。約12cm 模様は変態後2−3週間ほど
ボヤけている。
最も成長が早かった
個体の変態の様子。
7/23 全長13cm 模様が濃くなる 7/29 27日より外鰓の縮小に気付く
7/31 ほぼ鰓が吸収される。 8/3 変態 全長13.5cm


戻るアメリカ種amerikashu.htm.