トルコスジイモリ


トルコスジイモリ( Ommatotriton ophryticus

黒海周辺の森林に生息する陸生のイモリ。
O. v. cilicensis O. ophryticus O. v. vittatus からなり、繁殖期のクレストは本種が最大で美しい。

通常は完全陸生で水をはじく皮膚を有し早春の繁殖期のみ水中形態となる。

4〜5月頃繁殖を終えた個体は上陸するが上陸時に死んでしまう事も多い。湿温度、繁殖による体力の消耗等が言われるが正しくは分からない。水温が高いとすぐに上陸する。上陸し陸生になった個体は意外と丈夫で導入直後はハニーワームをよく食べる。馴らせば人工餌も食べるようになる。コオロギは2令ぐらいの小さいものしか食べない。

飼育温度はさほど暑さに弱くは無いが蒸れるとすぐ死ぬので22〜24度ほどで通気をよくし、陸はやや乾燥している状態で飼育する。

トルコスジイモリ(雌)

雌は繁殖期でも雄のようなクレストは出ない。
繁殖期の雄

頭から尾の先までクレストがよく出ている。
尾にはブルーがのり、ヒラヒラと泳ぐ様は本当に美しい。

繁殖行動は雌の前で尾を振るわせ、時折しゃくるという定番のスタイルだが何度見ても美しいに尽きる。この時期だけを楽しみに1年を飼育するような感じ。陸生時は特には面白みもない。

クレストの出てない個体を水に無理に入れたりすると死ぬので注意。

トルコスジイモリ幼生

本種の幼生は成体のサイズにしては小さい。ある程度育てば冷凍赤虫も使えるが、最初はブライシュリンプや細かいイトメが必要。

上陸幼体は弱いので幼生のうちにたくさん食べさせて大きな幼生に育てた方が後々の飼育が楽だ。
上陸した幼体

上陸後の幼体は湿度が多いとすぐ死ぬので庭土やヤシガラを軽く湿らせた床材を使用した方がいい。砂利でもいいが砂利の表面が濡れているようでは湿りすぎで、白く乾いてる程度がいい。

餌はイトメを2,3匹幼体の目の前に置いて、食べるようなら暫らくすると口にくっつけるだけでも食べるようになる。その他は初令のコオロギ、極小のワーム白ワラジ等。

イトメは食べるがピンセットから食べるようになったら冷凍赤虫に切り替えた方がいい。
イトメだけで育てた幼体は2年半でおかしくなった事がある。餌を食べようとはするが口を開けてもあさっての方向で、クルクル回り神経障害のようになり70匹がわずか2、3ヶ月で全て落ちてしまった。
上陸直後の幼体と成体頭部

幼体は目の後ろに白い斑紋が出るのが特徴。サイズは小さいが餌にはわりと貧欲だ。

成体は幼体を餌としてはあまり見ないらしく、暫らく一緒にしておいても食べないが、早めに幼体用のケージに移した方が無難。


飼育環境

私は5分の2程水場を作っているが、繁殖期以外は特に必要ない。
水場は陸を乾燥させている為、万が一にも干物にさせない為と繁殖期への水中移動の見極めの為にセットしてある。

冬に水場に入るようになり、皮膚がしっとりしてくると水位を段々に上げていく。しかし室内で飼育していると水中形態に移行しない事も多い。室温が5度ぐらいある年はあまり繁殖のリリーサーになりづらいのかもしれない。寒い年や屋外ならだいたい繁殖形態に入る。

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