ツシマサンショウウオ


 
ツシマサンショウウオ(Hynobius tsuensis)

対馬の固有種で上島、下島の両方に生息する。

渓流性の種だが幼生はバランサー(平衡器官)を持ち止水性種の特徴をあわせ持つ。成長するとバランサーは無くなり流水に適応した細長い体つきになっていく。

3〜4月に渓流の石の下に外皮の丈夫な卵嚢を産む。

私は下島と中間部しか行ったことがないが、上下の島で差異のある個体群が知られる。下島ではメインとなる河川が私の知る限り3本あり(多数の個体が確認できる所)また、国道沿いの小渓流のほとんどで1〜2匹は確認できる。

渓流性種にしては高温にも強く、餌食いも悪くないので比較的飼いやすいが繁殖はやはり難しい。持ち腹産卵は経験あるが今だ完全飼育繁殖はしてない。ちなみに高温に強いとはいえ25度ぐらいまで。


雄個体の画像

雄は繁殖期に紫色っぽくなる。非繁殖期は黒茶色。

ツシマサンショウウオの卵嚢

卵嚢の形や選択される石の形状は他の流水性種と変わらないが、川底は砂礫ではなく泥がかなり混じる。

対馬では古くは屋根瓦にも使われていた平たい石
(石盤石)に産んでいる事も多い。

繁殖地の様子

下島のメインとなる渓流の1つ。
繁殖期がドンピシャだと100単位で雌雄が確認できる。

水深は15cm〜30cmほど。

他の流水性種は人力で動くか動かないかぐらいの大きい岩を選択して産卵するが本種は30cmほどのわりと小さな石でも産卵している。

多数の個体が繁殖に集まる渓流は日陰で安定した水量がある。トンネルかダムか覚えてないが建設により水がなくなった場所もあったが、泥の中に産卵していた。卵はあるだけ別の場所に移したが直接渓流をいじらなくても地下水脈の流れが変わってしまったのだろう。水がなくてはどうにもならない。


水中で過ごす個体

ツシマサンショウウオは繁殖期以外は自然下では陸生だが、飼育下では水中にいることも多い。というか1年のほとんどが水中で陸ではあまり見たことが無い。飼育環境にもよるが水にかなり適応した種なのだろう。陸と水を完全に分けた衣装ケースをパイプで連結したケージで飼育していた時も半数は水のケージから出てこなかった。
飼育環境

陸地はフラットなプラケースを上半分を切断し、底に穴をあけて通水を良くしたものを使用。水をかけたとき穴がないと溜まった水が悪くなるからだ。

またプラケースは足が付いている為、水中でのシェルターおよび産卵床になればと思いセットした。実際この下によく隠れてはいる。

水深は10cmちょいで石を大目に入れている。最低エアレーションは必要。水質は清潔を保つように月1度は3分の1ほどの換水をする。

餌は陸ではコオロギ、基本的に活赤虫をメインで与えている。

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