エゾサンショウウオ


 
エゾサンショウウオ(Hynobius retardatus)

北海道の広い範囲に生息している北海道固有種。
全長18cm程度になる大型の止水性サンショウウオ。

低地から高地までに広く見られ、雪解けの頃に沼や小川の溜りなどに集まり産卵する。
標高によって産卵期は4月〜7月頃と幅がある。
繁殖期の雄は尾が扁平し、水中から酸素を取り込みやすいように体を膨張させて表面積を大きくする。
幼生は巨頭化する事が知られており、エゾアカガエルとの関係や天敵の有無、生息場所での体の適応変化など
環境による変化が非常に興味深い種類。

02年に札幌構外へ探しに行ってみたが、1日の滞在で20箇所近い産卵ポイントを確認できた。林道脇の湧水などはかなり汚れ、危ぶまれる箇所もあるがちょっと目立たない場所だと何百単位で産卵してある。今のところ生息数に問題は無さそうだ。

飼育は北海道が産地のわりに25度ぐらいは問題ないし寒さにも強く、餌食いも大変いい。早い期間でなんにでも餌付く。

繁殖は90cm水槽で半分を水場にし、30cmほど水深をとる。産卵期にあたる4月〜5月までに十分に太らせれば繁殖も難しくは無い。

エゾサンショウウオ若親

もう繁殖可能なサイズのヤングアダルト
フルアダルトは黒くなる傾向があるが、この個体はまだ体色に金粉をちりばめたような細かい模様が入る。
エゾサンショウウオ幼体

生後3年の個体。ベースである黒い体色もまだ薄く全体的に金粉模様が残る。

幼生時期はエゾアカガエルのおたまじゃくしを好んで食べるようで、他の止水性種の幼生よりも頭が大きい。おたまじゃくしが大きくなるとさすがに食べれなくなるがその頃には上陸してしまう個体が多い。上陸が遅かった個体にはアカヒレや活アカ虫を与えて育てた。

上画像個体のサイズ比較

右がフルアダルト。雄の個体は繁殖期には頭と肋条が盛り上がり、マッチョな姿になる。

北海道の広域に生息する本種は産卵期も高山では7月に始まる場所もあり、産卵場所も止水流水の両方に見られ幼生もその場所により体型に変異が見られる。以前はネオテニー個体も確認されていたがニジマスの放流により全滅したようだ。ph値が高く魚のいない水域にも産卵する場所もあり、サンショウウオにしては環境への適応が高い種なのかもしれない。

2009 3月7日 抱卵している♀  2009 4月3日撮影 
2009 7月 上陸間近の幼生 2009 8月16日 変態幼体 

 
 2018年に飼育下繁殖した個体。2019年4月撮影。
体色が白い個体が産まれ、他の個体が変態しても1年半ほど変態しなかった。
変態を楽しみにしていたが幼生のままで死亡。
2009年に産まれた個体達の子供。
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