ハコネサンショウウオ |
ハコネサンショウウオ (Onychodactylus japonicus
) 東北地方南部から中国地方にかけて分布。 地域によっては低標高の生息地もあるが、多くは1000m以上のブナ林などの源流部に広く分布する。 垂直分布でいうと日本のサンショウウオでは一番標高の高い所に生息している、その為飼育には確実に冷房が必要となる。真夏で25度を越える温度は死につながると思っても間違いない。15度から18度が適温。 成体では肺がなく皮膚呼吸をする。繁殖期には雌雄共に指趾に黒い爪が生え雄の後肢は肥大する。 細身で尾が長い体だが全長20cm程まで成長する大型のサンショウウオ。 餌食いは悪くはないが、繁殖はまるで期待できないし、低温と高湿度、清潔を保たないとダメなので非常に飼いづらい。おそらくは日本産種では一番難しいだろう。 |
ハコネサンショウウオの特徴。 尻尾の長さが頭胴長より1.5倍ほど長く、スリムで大きい(全長22センチある)まず他の種と間違うことは無い。 この個体の後肢を見ると大きく見える。雄の個体は後肢の第5指の外縁が肥大する。 |
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ハコネサンショウウオの特徴 目をみると大きく突出しているのが分かる。 背面は一般的な関東カラー。黄褐色の小さい点が帯状になる。 |
成体の飼育はとにかく冷やさないと話にならない。 適温は夏で気温20℃以下、水温16℃程度。それ以上でも飼育は可能だが調子を落としやすい。 下部に見える白いクーラーBOXが濾過槽になっており、水槽用クーラーで冬季4℃夏季16℃に設定し オーバーフローでガラス製飼育水槽内の産卵場所を兼ねた発泡BOXとシャワーリングへと接続されている。 各バルブで水量を調節し、発泡BOXへ多くの水が流れるようになっている。溢れた水は水槽内に開けた 排水バルブから濾過槽のクーラーBOXへと循環する。 ガラス水槽は市販の爬虫類用のものだが、隙間が多く何度か脱走されたので隙間はシリコンで 塞いである。 夏場の室温は20℃に設定してあるが、飼育水槽内は18℃程を保っている。 夏は結露するため、水槽は2重加工してあり、空気の層を作ることで結露を防止している。 冬にかけ徐々に水温設定を下げていくと、12月頃から発泡BOX内に集まり初め、翌年6月頃まで ほとんどの個体が水中で生活している。 |
ハコネ繁殖期♂ 後肢が肥大し爪ができる。 | ハコネ繁殖期♀ 卵が見える。爪ができる。 |
2012年 6月26日 食用に採集される個体を生きたまま導入。 繁殖形態の♂4♀4個体をクーラーBOXに入れ、毎日2回凍らせたペットボトルを入れて10−15度を保つ。7月16日に4度の冷水を80%ほど換水すると、7月22日、23日に産卵した。産卵前は、BOXの蓋を開けると逃げ回っていた♂個体も、産卵後は卵の誘引物質の影響か、卵の周りに、まとわりついて離れない。計3対を確認でき、8月3日には尾芽胚期初期ぐらいに成長した。8月4日に3日間不在になる為、クーラーBOXから出し、空調管理された有尾部屋の水槽へ移動した(水温22度)。水温22度では卵の発生には高温だったようで、卵は死んでしまった。野外で確認する事が困難な為、飼育下で卵の発生と幼生の成長を観察するつもりだったが残念な結果となった。10℃設定できるワインセラーが必要だね。 |
ハコネサンショウウオ幼生 この個体は栃木県産だが背面は帯状になっている。 徐々に黒いマダラ模様がまじり成体になってもこのままの模様には育たない。 関西のハコネ幼生はあまり分からないが、関東、中部ではよくみかけるカラーだ。 幼生は自然化では変態に2年半もかかり、10センチほどで変態するが、飼育下ではもう少し早く小さく変態する。 流れのある渓流に住む為、爪があるが、わりと流れの外側のゆるい所、流れが少し入る淵等でも多く見かける。 生後2年ほどの個体。 |
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ハコネサンショウウオ幼生 この個体も上と同じ栃木県産。一般的なマダラ模様。 ハコネサンショウウオは幼生でも冷却装置が必要。20度までならエアレーションをすれば飼育できる。冷却装置が無い場合、発泡スチロールに氷を入れて夏を乗り切る方法や家庭用冷蔵庫に入れてしまう方法があるが氷は1日3回は交換しないといけないし、家庭用冷蔵庫は家族の理解を得るのが大変だ。しかもどちらも観察しずらいのでいい方法ではない。水冷クーラーを使うといいが、上陸すると水では無く気温を冷やさないといけないので結局はワインセラー等で全体を冷やすのがベストだ。 |
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ハコネサンショウウオ幼体 外見は成体とあまり変わらない。 あまり人口飼料などには餌付かないが、動くものにはよく興味をしめす。乾燥に弱いのでアクアテラで飼育した方がいい。 |
広島県産の個体 中国地方では朱色の個体が多く、場所によってはシコクハコネサンショウウオと混生する。 卵嚢の形状にも差が見られ、変態幼生のサイズも西日本の方が大きい。 |
幼生の生息地 左画像はかなり下流で成体、卵嚢は探す事はできない。源流で産まれた幼生は成長につれ下流へと移動する。 産卵は発見例も非常に少なく、研究者はホルモン剤を使う。自然下での産卵場所は水量の安定した最源流域の巨岩と巨岩の隙間奥や伏流水中で、伏流水も斜面の吐出口から水平距離5m、地表より1.5mから0.6mの深さの石と粘土質で構成され安定した水量と地質の場所等が選ばれる。地表からは確認する事はできない。水温は場所によって違うようだが5月で8℃〜11℃ほどであるという。1度の産卵数は15個前後だが特殊な環境に産卵するため生息数を維持している。 また産卵は関東では晩春だが、春と秋の2回、見られる場所も知られる。寒冷地では1年のうち夏眠、冬眠で摂食期間が少なく、卵をつくる栄養が1年では十分でないため2−3年に1度しか産卵しない雌もいる 福島県の桧枝岐の温泉街では今でも本種が名物料理として食べられている。以前は年間2万匹が食用に捕獲されていたというから驚きだ。以前放映された画像では卵を持った雌も捕獲されバケツ2杯分にびっしりと収められていた。最近の捕獲量は減少したようですがこれではその河川からは全滅する捕獲量ですね。採りすぎないように採集した場所は2年ほど休ませて資源を枯渇させないよう調整している。 |
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ハコネサンショウウオ繁殖地(東京都) 山深い最源流部。ヒダサンショウウオも同所で繁殖が確認でき、成体、卵嚢共に見つける事が出来るがハコネサンショウウオは移動中の成体は確認出来ても卵嚢を見つける事は難しい。 |
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