イボイモリ


イボイモリ徳之島産(Echinotriton andersoni )

奄美大島、徳之島、沖縄本島、渡嘉敷島等に生息。

森林に隣接する農耕地に生息と記述される事が多いが徳之島に限る話で他の島は山地の渓流や湧き水の周辺森林に生息する。徳之島は山が平らになりながら大陸より分離してできた島なので比較的平坦な場所にも生息している。

2003年4月に鹿児島県指定天然記念物に指定された為現在は採集することが禁止される。

指定以前に採集、飼育(ペットショップの在庫含む)していたものは対象にはならない。飼育しているものは消滅するまで維持し、生息地へも逃がしてはいけないそうです。繁殖した個体も何も規制は無いそうですが譲渡、販売等は法規制はないもののやめて下さいとの事。希少な動物の為飼育能力の定かでない第三者に譲渡、販売する事は放棄にあたるからだそうです。現飼育者の登録がないのは問題かも。

イボイモリの卵

飼育下では3月から5月ごろ直径5mmほどの黄白色の卵をミズゴケの中に産み付ける。1匹で50個ほど。
徳之島では12月ー2月に求愛行動をとり、3月頃から遅いと6月頃まで産卵する。2009年には我が家では最遅の8月産卵を記録した。

自然下では孵化した幼生は水中に入れなければ命はない。(水中でもイモリが待ち構えているが・・)幼生は孵化と同時に飛び跳ねる。着地地点が陸なら死亡である。

飼育下では周りを全部水で囲めば問題は無い。
イボイモリ幼生 正面

水をきれいに保とうとしてエアーレーションやフィルタリングするのは本種には間違い。猛烈な共食いで水を汚し換水して死亡し・・となる。

ベテラン飼育者のアドバイスで私も成功するようになったが、水深10cmほどでウィローモスをたくさん入れてやるといい。それで幼生の接触する機会を減らし水草の浄化作用で水質を保てる。

秋頃には上陸している個体が多いが越冬するものもいる。越冬個体は上陸サイズが大きいのであとの餌やりが楽になる。
イボイモリ幼生

6月にハッチして3ヶ月たつ幼生。水温が真夏でも20℃を越えない飼育部屋の為、やや成長は遅いかもしれない。
変態間近の幼生

外鰓は短くなり、体色も黒く、肋骨が明瞭になってきている。全長約5cm。あと数日で変態するものと思われる。
変態間もない幼体

変態後約10日から2週間で小さいハニーワームに興味を示すようになる。植木鉢のカケラでシェルターを作ってあげるとその下に潜んでいる。1匹づつ餌をあげて体調管理する為、非常に時間がかかり手がかかる。床材は桐生砂と庭土を混ぜたものでやや乾燥ぎみにして水槽中央に植木鉢の水受けに焼き赤玉を入れ苔を置いた多湿の環境を1部分用意している。
イボイモリ幼体

1年と2年の個体。
イボイモリの幼体はとにかく餌を食わない。人工飼料などもってのほかだ。(3年目に入りようやくレプトミンに餌付いたが)

ハニーワームのSを使うようになり、やっと少し安心して飼育できるようになった。それ以外ではワラジムシ小、コオロギ初令を使う。基本的に動きが早いものは食べれない。生息地のリッター層には白いトビムシやらなにやらがいっぱいいる。そういうものを食べるのだろう。
左より2003年CB、04年CB、05年CB

幼体の飼育も何度か経験すると人工餌への切り替え時期や成長のスピードなどが最初と比べ早くなってきた。突然死も多かったのだが3回目ともなると原因は分からないが減った。真冬の保温対策や床材の選択、選好湿度等、確実にレベルアップしていると思う。経験を積むという事がいかに大事か身にしみる思いだ。

イボイモリ特徴

徳之島産は小柄で平べったく、背面の肋骨の隆起が顕著で目の後ろのエラが張った部分や肋骨の先端にオレンジがよく現われる。

奄美産は徳之島産に似るが、それほど平べったくなくサイズもやや大きいが頭は小さめ。

沖縄産は体が大きく、あまりオレンジ色が明瞭に出ない。皮膚はあまりイボイボした感じでは無く滑らか。上記2島と比べ顔つきもだいぶ違うと思う。
背面にオレンジが出ている徳之島産の個体
イボイモリ雌(奄美大島にて)

奄美のイボイモリは沖縄、徳之島に比べ個体数が少ないようだ。この個体は山地の湧き水が流れ込む短辺2mほどの水溜りのような場所にいた。お腹が大きかったので産卵に来ていたのだろう。

奄美ハブセンターに行くと飼育個体が見れるようだ。ハブの胃の内容物の展示もあり、イボも食べられている。

餌について

(成体)
基本的に早い動きのものは食べる事が出来ない為、主にハニーワームを主食としているが、その他にワラジムシやミミズ、足をとったコオロギを与えている。コオロギはあまり好物では無いようであまり食べない。レプトミン等の人工餌も何年も飼育していると食べるようにはなるが、だいたい1本だけであとは見向きもしないのでサプリメント的に与えるようにしている。CB個体は種親よりは人工餌でも食べる。
飼育環境

90cm水槽を使用。床材にヤシガラマットと観葉植物の土、桐生砂を混ぜたものを使用。あまり床材は多湿にしないで軽く湿っている程度を保つ。

真ん中にプラケースを埋めこみ、水場にしている。へゴ板を斜めに設置し、上にミズゴケをおいて産卵床にしている。水中モーターで苔にポタポタ水を落とすといいが、ヤシガラで給水口がすぐつまるので繁殖期以外はエアーレーションしている。

左に100Wの保温ヒーターを設置してあり、気温が15度を下回るころから使う。サーモは付けてないがだいたい真冬で最低12〜15度ぐらいになる。保温すると床材が乾燥しすぎるのでコルク板を使って水分の蒸発を防ぐ。

CB個体の繁殖

2011

未受精でカビている卵 受精した卵
2011年 
野生個体が産卵した卵を育てて8年目にして初めて我が家生まれのイボイモリが産卵した。もしかしたらもっと早くに産卵させる事が出来たかもしれないが、2010年11月に初めてCB♂(6−7才)が求愛らしい行動をしているのを確認、翌2月に産卵を意識した水槽レイアウトに変更したが、それまで水場を作っていなかった。2011年に3回ほど産卵を確認したが(各5個ぐらい)全て未受精でカビたり、苔に潜って産卵するので水中に落下していたりで期待してなかったが、水中に落ちている卵が1個受精していて発生しているのを見つけ取り出した。11月の求愛行動と思われる行動は、♂が鼻先を横から♀の総排泄腔にくっつけて押し、♀を軸にグルグルと回っていた。これが求愛行動かは定かでなく、精子嚢は確認出来ていない。

2012

2012年3月、昨年よりも大量に産卵が確認できた。
2011年は、1個のみ受精卵が取れたが、奇形の為、発生段階で死んでしまい、2012年こそは、イボイモリのF2を取りたいと、細かいところまで配慮してきたつもりだったので、2桁の受精卵は素直に嬉しい。画像左はヘゴ板をひっくり返したところ。水面と板は離れているのだが、逆さまになって産んだのだろう。種親の産卵や現地の産卵場所でも、何かの裏側に産み付けてある例は見た事が無い。現地で落ち葉の下に産んである卵も、裏返って産卵したりするんだろうか・・?シリケンイモリ等では普通ではあるが・・。右画像はCBF1個体。月に2ー3回、餌を食べるかどうかだが、産卵に至るのだから問題無いのだろう。手前の個体は8歳だと思われるが、横幅は大きくなっても、全長は中々大きくなってくれない。まだ種親の7割程度。
受精卵 未受精卵
2012年4月1日現在
採卵できた総数は、56個。
受精卵が26個、未受精卵が30個と、やや未受精が多い。
同一箇所でも混じるので、個体による訳では無さそうで
一腹の中で受精されてない卵が多いという事だろう。
もう少し成功率を高めたい。

孵化間近の卵 2012年4月 孵化直後 泳げるが、じっとしている
2012年 5月6日 同日 イトメを食べて、しっかりしてきた。

2012年 5月27日 徐々に黒くなる 同日他個体 黒化が進んでいる

2012年 5月 
他個体(CBF1)も産卵している。
産卵数は少なく、10個程。
受精している卵も2個と少ない。

6月18日より変態が始まった。変態後2週間ぐらいから餌を食べだすが、相変わらず餌食いは渋い。

 
 2014年10月
2013年生まれの個体をキッチンで飼育する。
冬も暖かく、人目に常にふれる為、非常に馴れた。人口餌もバクバク食べるので
色揚げ効果も出てる。コリャ楽だ。しかし既に徳之島イボだけで40匹を超えている。
ちょっと繁殖をセーブする必要がある。

 
 2016年5月 3匹のみ変態

   
 2017年4月 成長せず死亡する個体も多い  2017年4月 ほとんどカビてしまった

   
 2018年5月 双子の卵 途中で死亡  2018年4月 繁殖個体の一部

 
 2019年 産卵の様子 

   
 2020.5月 6個体が産卵 各5個〜30個程  約90匹程が孵化した。
   
 面倒だが単独飼育の方が死亡率は低い  激しい共食いをする。

 
 
 2020年6月より変態開始。8月にピークを迎える。

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