カスミサンショウウオ


 
カスミサンショウウオ(Hynobius nebulosus)

九州と壱岐、対馬、五島列島などの周辺離島に生息。

低地性の止水性サンショウウオで丘陵地の湿地、田園等の湧き水のあるところで産卵する。非繁殖期は雑木林や産卵場所付近の瓦礫の下等に潜んでいる。

飼育はすこぶる簡単(イモリよりは数倍難しいが)で本種が繁殖出来なければ、他のサンショウウオ等は繁殖を考えるだけ無駄だろう。温度管理もギリギリ冷房無しでも飼えるが日陰の通気がいい場所を選ぼう。できれば25度ぐらいの方が安心だ。

簡単な飼育部類に入る本種だが住宅地と生息地が接している事が多く、ものすごい勢いで生息地が消滅している。目立たない生き物なので現地の人も知らずに姿を消すようだ。


 壱岐産の卵嚢  五島列島産の卵嚢
 1990年代以前の壱岐島では 田んぼの用水路があぜで作られ、湧き水をひいていたので、かなりの数が生息し用水路のトンネルや溜りなどに卵がごそっとあったのだが90年中よりコンクリによる用水路に変わった場所も多く、産卵場所を失ったカスミは配水マスにまとまりしょうがなく産卵するが1,5平方mのマスにイモリが80匹もいるという最悪な環境になった。

   変態直後の幼体
尾の黄色い模様が顕著に出ている。

 対馬に生息するカスミサンショウウオとされる個体と卵

2019年の論文にて対馬にはツシマサンショウウオとカスミサンショウウオの2種が
存在するという内容が発表される。(Matui et al., 2019)
主に上島に分布するが、混生するツシマサンショウウオと外見上や卵嚢まで
よく似ていて判別は難しい。
あまりにも狭義のカスミとはかけ離れた性質なので今後はカスミとも分類されるのかもしれない。

飼育環境

水槽は60センチを使用。
三分の1程度を水場にして陸地部分を砂利と石でもかまわないが重いので食器の水切りザル等でかさ上げしている。これだとエアレーションした時にザルの中まで空気が通り水が悪くなりづらく高さ分水深がとれるので便利だ。

水深5cmほどでも繁殖は可能。

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