トウキョウサンショウウオ |
トウキョウサンショウウオ (Hynobius tokyoensis) 関東地方(群馬除く)などの丘陵地に生息。 福島県南部、茨城個体群を北部、栃木より千葉、東京、神奈川を南部個体群とされる。 2−3月に丘陵地の水路や湿地などの緩い湧水の溜りにクロワッサン型の卵嚢を産卵する。 四肢が短く、通常前肢と後肢を近づけてもほぼ重ならない。 2020年2月に特定第二種国内希少野生動植物種に指定され 捕獲して飼育する事は可能だが、不特定多数への配布、販売が禁止された。 同3月には違反者が既に逮捕されている。 その他、地域によって保護指定されている場所では捕獲も禁止されているので注意。 福島から神奈川まで分布域は広いが、各地で非常に減少している。 殆どの産卵場所は少数の卵嚢が確認できるだけの場所が多いが、こういった小場所の壊滅が続くと 200卵嚢を超える大型産卵地への成体の交換がなくなり地域的な絶滅へ進んでしまう。 飼育に関しては夏場に25℃以上にならない設備が必要。 餌は小さなコオロギ、ハニーワーム、ワラジ虫だがなかなか餌付かない個体もいる。餌付けばレプトミン等人工餌も食べるようになるが、わりと神経質。 Population genetic structure and genetic diversity of the Japanese lentic salamanders for conservation of endangered Hynobius Sugawara, Hirotaka |
産卵場 2月の水が少ない時に唯一卵嚢があった場所。 短辺1メートル。水深30センチほどの溜り。 |
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東京都郊外生息環境 谷戸の休耕田の湧水や湿地などが産卵場になり背後の林の地中や瓦礫の下などでミミズや小さな虫を食べて成長する。 多くの生息地が300メートル未満の丘陵地のため民家にも近く、道路や建設事業などで産卵地が失われまた採集圧がひどく春にはショップに大量に出回る。最近ではザリガニやアライグマ等の外来種による食害も多く確認され最悪の状況になっている。特に三浦半島の個体群ではアライグマの被害が著しいようで早急に駆除しないと絶滅も考えられる。 |
トウキョウサンショウウオの卵嚢 形状はバナナ型で1卵嚢に30〜80卵ぐらい含む。 親のサイズが大きければ卵嚢も大きい。 弾力のある卵嚢で表面にシワはない。 場所により枯れ木などに産卵していたり落ち葉の下に 隠して産卵していたりする。 |
雌雄の判別法 サンショウウオに共通だが繁殖期以外は雌雄は分かりずらい。 本種は繁殖期の雄は肋条が発達し、総排泄腔上部に突起が確認できる。その他左画像のように口の下が白く見えるのは雄である。 ショップに本種が多く出回るが、そのほとんどが雄だと思っていいぐらい雄ばかりだ。雌は自分で探しに行かないとそうはいない。おそらく業者は昼に底をさらうか、夜早い時間に採集するのだろう。雄は水中にしばらく留まるが、雌は深夜に産卵するとだいたいはすぐ水中から出てしまう。 |
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飼育環境 この画像は繁殖用ではないが、トウキョウサンショウウオは水深が5センチぐらいでも産卵可能だ。できれば水深は15cmぐらいあるといい。 床材は赤玉が使いやすい。本種はシェルターを複雑にするとこもって出てこない為、体が確認できる程度のシェルターでミズゴケも少量にしている。 以前卵から孵化させた個体が成長し、産卵するまで6年かかりました。90年あたりの話なので今より餌事情は悪いですが野生では3、4年で繁殖可能になるようです。餌事情のいい現在ならば飼育下で3年あたりで繁殖できると思います。個体数が激減している種類ですので飼育される方は頑張って繁殖させましょう。 |
繁殖例 |
産卵前日の♀の様子 09 4・4 | 枝につかまり♀を待つ♂ 09 4・5 pm22:45 |
産卵後6〜8時間の卵 産み捨てられている |
上記の個体の子供達が産卵するようになっている。斑紋がある4個体が雌。 中央の班無しは雄で2009年の産卵画像の時にも参加していた親個体。 2019年2月1日撮影 |
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